大学生編 ~その2~

大学生編 ~その2~

ビリヤード

僕の大学生活の半分程を占め、以後に大きな影響を与える、3大趣味の1つビリヤード。人生において貴重な出会いであったのは間違いない。

 

ビリヤードの存在は中学か高校の頃にゲームセンターで見た記憶があったけどやったことはなかった。始めてやったのは大学入学前に中学の同級生と集まった時。ルールも何も知らず見様見真似でやってできたかどうか覚えてないけど、面白いと思ったのは覚えてる。スポーツが好きで中でも球技が好きだったので親しみを感じたのかもしれない。

 

大学進学後、大学の近くにビリヤード場(4台の個人店)があってそこでバイトを始めた。

 

水曜日の10時~20時
時給は550円でランチ付き
お客さんが少ない時は練習してOK

 

バイト代は気にしてなくて練習できるのが狙い。この頃はまだマイキューを買ってなくてお店の気に入ったキューを自分専用の様に使っていたレベル。

 

お店には常連の学生(皆神大)が何人かいてちょっとずつ仲良くなったけど、まだやる気には温度差がある状態。僕の当面の目標は、例の何でもできる中学の同級生の彼(先に上京している)に勝つ事。

 

ただこのビリヤード、素人(ピンキリだけど彼は上手かった)相手に必ず勝つというレベルになるには結構大変(相当センスがあれば別)。週1回バイトしている位ではそこまでのレベルには中々なれず負け続けていた。

 

マイキュー

転機は1年の終わり頃にキューを買ったこと。周りがマイキューを持っている環境にいると欲しくなってくるもの。最初はその気は全く無かったのだけどついに購入。

 

時は1997年。その頃ネット販売はなく店頭販売のみ。情報も本か人から教えてもらうくらい。お店にカタログがあって注文できたので、常連の人はそこから選んでお店に届けてもらっていたのだけど僕はそれを良しとせず自分で見て選ぶ選択をした。

 

雑誌(ビリヤードマガジン)の広告を見てお店に電話し、値段や在庫を聞いて色々と調べた。その中で値段が手頃で見た目も好みのキューがありお店に見に行くことに。

 

歌舞伎町にある「アシベビリヤード」というお店(今も健在)。当時は歌舞伎町に行く事はほとんどなく、しかも夜に行ったので緊張してドキドキして行ったことをよく覚えている。

 

お店で実際に見せてもらって触って購入を決めた。メウチというアメリカのメーカーのキュー。紫色がメインカラーでちょっと細めで軽め。4万5千円程だったと思う。

 

ちなみにキューの値段はピンキリで、10万、20万以上の物も沢山ある。始めてキューを買う場合は5万円前後が手頃で周りもそれくらいの物を買う人が多かった。

 

貸しキューとは全く違うし、何より愛着が湧いてやる気が高まってくる。毎回同じキューを使いキューに慣れることでより上達するので、自分のキューを持つ事は間違いなく上達の近道。

 

僕は買ってからもう嬉しくて嬉しくて、お店にキューを置いく人が多いのだけど、家に持ち帰って素振りしたりしてマイキューをずっと触っていた。そしてここから本格的に練習を始めてお店に入り浸るようになっていった。

 

ビリヤードの面白さ

ビリヤードはシンプルだけど面白い。

やることは
・狙った球を入れて
・狙った位置に手玉をコントロールする
こと

 

これを続ければ相手に撞かせることなく自分が続けられる。

 

☆手玉を撞く感触
☆的球が入った時の爽快さ
☆狙った通り計算通りに出来た時の達成感
☆勝負に勝った時の嬉しさ
☆お店の人、常連さんと仲良くなる
☆旅先の地でビリヤードを楽しむ

 

などなど、面白さは無限にある。

 

ビリヤードには中毒性がある。一度ハマると抜け出せない中毒性。

 

やり始めると時間の流れが変わる1時間が10分に感じられ、2時間、3時間はあっという間に過ぎる。朝まで8時間ぶっ通しで撞き続けることも度々。やってる間は眠くならないし疲れることもない。

 

勝った負けたもあるけど、純粋にビリヤードが楽しくて面白い。上手くできた時はもちろん嬉しいけど、仲の良い友人と楽しくできた時が何より一番楽しい。

 

気心知れた友人と大好きなビリヤードを時間を忘れて延々とやり続ける。人生で至福の時。

ビリヤードに熱中した人でないとこの感覚はわからないと思うけど、一度味わうと忘れられなくなる。それほどビリヤードには特殊な魅力と面白さがある。麻薬と同じように規制されないのが不思議なくらい中毒性がある。

 

今、ビリヤードの面白さを少しでも広げたいと思ってレッスンをやることがたまにあるけど、唯一の心配はビリヤードの中毒性に侵されないか、ということ。

 

そうなった時の責任は持てないけど、少しでも多くの方にビリヤードの楽しさを感じてもらえる機会が増えるといいなと思う。

 

ビリヤードは生涯スポーツ

「ビリヤードはスポーツ」というと違和感があるかもしれないけど、アジアオリンピックの正式種目であり、東京オリンピックの正式種目承認に向けた活動もあった程。結果は残念ながら承認されず、2024年のパリオリンピックへの承認を目指し活動をしている。

 

ビリヤードは体力勝負でも筋力勝負でもなく、男女平等にできるスポーツ。もちろん、身長が高くて筋力がある方が有利な点もあるけど、背が低くて細身で筋力が無さそうな人の方が上手いということもよくある。スポーツの中では比較的男女対応にできるスポーツだと思う。

 

また体力というよりも経験と技術がものをいうスポーツなので、高齢の方が有利なこともある。先を読み常に計算をするので頭も使う。

 

この点からも、ビリヤードは老若男女問わず、幅広い世代で楽しめる生涯スポーツに最適だとお勧めできる。

 

道具もお店に揃ってるので無理に買う必要もないし、ゲーム代も1時間700円前後と特別高いものでもない。むしろ、お手頃ではないかと思う。

 

「趣味を持ちたい」、「生涯長く続けたい」。そんな方にはビリヤードを強く勧めたい。

 

59

ビリヤードの遊びで59(ゴーキュー)というものがある(関西では「ジャパン」と言って若干ルールが異なる)。

 

簡単にルールを説明すると、9ボールで、5番と9番を入れると点数が入るルール。

 

〈点数〉
5番:
コーナーポケット1点、サイドポケット2点

9番:
コーナーポケット2点、サイドポケット4点

 

9番を入れたあと、所定の場所に手玉(白い球)をコントロールしないと点数が半分になり、ブレイク権も相手に移る。

 

ハンデを付けることができ、上級者は下のプレイヤーに3番、7番を点球として与えることもある(ルールはお店、地域で若干異なることがある)

 

3人以上でも楽しめる遊び方で、僕はこのゲーム性がすごく好きで相撞き(人と一緒にやること)の時もほとんど59をやっていた。大きな声では言えないが、1点=50円程のレートで遊んでいた。

 

僕は賭け事はやらず今でも興味がないが、59だけは抵抗なくやっていた。人によってはお金を掛けることでプレッシャーが増す、負けるとより悔しい。だから上達が早くなるという人もいた。

 

これは人それぞれだと思う。僕は掛けても掛けなくても悔しさは変わらないし上達したい気持ちも変わらなかった。賭け事が好きな人はより燃えるのかもしれないけど、僕にそれはなかった。

 

ちなみに、負けても1,000円程度。多くても2,000円程と高額な賭けではない。ギブアップもできるし誰も強要しないので、やるもやらないも自分次第。時々上級者に勝つ時もあったからその時の嬉しさは格別だった。

 

ビリヤード場でのバイト

ビリヤードのバイトを掛け持ちしていた。個人店のバイトを週1回(水)、大型店のバイトを週2回(木、日)。全て深夜バイト。個人店は人がいない時はたまに昼のバイトをすることもあったけど基本は深夜バイト。

 

ちなみに大型店は横浜関内の
「ハイランドビリヤード」
というお店

 

ビリヤード業界では有名なお店でアマチュアのトップや海外のプロも来るレベルの高いお店。常連さんも多かったけど一般の人も沢山来ていて当時の景気は悪くなかったと思う(1998年頃)。

 

でも残念ながら2016年に閉店してしまった。知った時はとても残念だった。時代の流れもあるけどやはり寂しい。
「ハイランドビリヤード」特集記事

 

ビリヤード場でバイトをする目的は「上手い人を近くで見れる」のはもちろんだけど、「(いつでも」ゲーム代がタダ」というのが大きい。学生にはとても嬉しい。

 

上手い人のプレーが見れて一緒にやる機会もできて(仕事外の時間で)、ゲーム代もタダでバイト代ももらえる。ビリヤード好きには夢のような仕事。

 

仕事前に常連さんと一緒にやったり1人で練習したり、「ビリヤードを上手くなる近道はビリヤード場で働く事」と言われた意味が良くわかる。

 

ただ、立ち仕事なのと、込むと結構忙しくなるのでそれなりに大変さはあった。けどやっていくうちに慣れるので、良いバイトにめぐりあえて運が良かった。

 

そして、ビリヤードに出会いを求めることは無かったのだけど思いがけずそんなこともあったりして何がどうなるかわからないもの。ビリヤードのバイトは僕の大学生活を豊かにしてくれた、とても大事で大切な想い出の一つ。

 

個性的な人たち

ビリヤードに熱中する人は個性的に人が多い。個人的な感想で偏見もあると思うけど個性的な人が多いと感じる。言い方を変えると、「個性的=変な人」とも言える。

 

こんな格言がある

 

・C級はビリヤードをおろそかにし
・B級は家庭をおろそかにし
・A級はビジネスをおろしかにし
・SA級はすべてをおろそかにする
(作者不明)

 

中々言い当てていると思う。うまいと思う。全ての人に当てはまる訳ではないけど、上級者であればあるほどクセの強い人が多かった。もちろんまともな人も沢山いるので一部の個性が強い人の印象が濃いのだろうと思う。

 

僕は大人しい方なのでそんな人の中では個性が埋もれていたと思うけど、その中にいて違和感がなかったということは僕もその類なのだろう、と感じていた。

 

学生
社会人
自営業
フリーター
不明

色んな人がいて、普通の大学生活では出会うことがない人に沢山出会うことができた。一緒にビリヤードをやるのはもちろん、飲みに連れて行ってもらったり、他の店に連れて行ってもらったり、一緒に試合に出たりと、色々と面倒を見てもらった。バイトを辞める時も送別会をしてもらえてとても嬉しかった。

 

変わった人が多かったけど大切想い出と大切な財産。

 

ビリヤードは人生の縮図

ビリヤードは性格が顕著に現れるのも面白い。10代~70代まで幅広い方に相手をしてもらったけど、

 

・話ながらやる人
・黙ってやる人
・機嫌不機嫌ハッキリわかる人
・外すとチッていう人
・じっくり考える人
・とにかく速い人
・感覚でやる人
・リアクション大きい人
・ピリピリしてる人
・全く動じない人

 

などなど、本当に色んな人がいる。どんなスポーツでも性格は出るけど、経験上、ビリヤードは他のスポーツよりも性格がより出やすくわかりやすいと思う。

 

恐らく、常に動いているスポーツよりも止まっているスポーツの方が性格が出やすいのだと思う(たぶん)。思いつくところではゴルフ。これも性格が出やすい。

 

仕事で少しだけやったことがあるけど、とある教授の例。前半はまずまずだったので機嫌が良かったけど、後半は崩れて見る見る機嫌が悪くなり、雰囲気は最悪で生きた心地がしなかった。

 

趣味は楽しく人に不快感を与えてはいけない。

 

下手なのは自分の責任なのだから人や物に当たるのは論外。そういう人とは一緒にやりたくない。色んなタイプの人に出会って反面教師にもなりいい勉強になった。

 

たかがビリヤード
されどビリヤード

 

ビリヤード台の上でその人の人生を見ているような感じがして、時にゲーム以上に興味深かった。ビリヤードはとても奥深い。

◇後編(準備中)に続く