コーチングとは ~歴史と由来~

コーチ、コーチングとは

ここでは、コーチの歴史と語源、コーチングの効果など、「コーチングの概要」についてお伝えさせて頂きます。
コーチ、コーチングを身近に感じて頂く切っ掛けになれば嬉しく思います。

 

コーチの由来

「コーチ」と聞いて真っ先に何が思い浮かぶでしょうか。スポーツの「コーチ」、ビジネスの「コーチ」でしょうか。または女性に人気のブランド「COACH」でしょうか。一説にはブランドの「COACH」がスポーツやビジネスの「コーチ」の語源だと言われています(諸説あります)。どうりで同じ言葉な訳ですね。

 

COACH

ブランド名の「COACH」は、ハンガリーの町「Kocs(コチ)」が由来と言われています。コチは、当時としては画期的なサスペンション付きの四輪馬車を世界で初めて製造した町として知られており、その素晴らしい品質と乗り心地はヨーロッパを中心に各国の間で評判となり、「コチ」というだけで「馬車」を意味するようになりました。そして、町の名前「Kocs」から「Kocsi」が「馬車」を意味するようになり、「Kocsi」が英語になったものが「COACH」だと言われています(1500年頃)。

 

また、この「コチの馬車」はその高い品質や乗り心地から、貴族や大切な物を運ぶ時にだけ使用されるようになりました。このことから、「コチ」=「大切な人や物を運ぶ」、「目的地に運ぶ」という意味を持つようになったと言われています。諸説ありますが、『大切なものを運ぶ時に使って欲しい』という製品への想いを、この「COACH」というブランド名に込めたと言われています。そしてその想いはブランドロゴにも込められており、お馴染みの馬車はコチの馬車で、そのような意味が込められているそうです。

 

この様に、馬車には「大切な人や物を運ぶ」、「目的地に運ぶ」という役割があることから、ビジネスにおける「コーチ」も、「大事なことを相手に伝える」、「目的を達成させる」という意味を持つようになりました。

 

名前の変遷

Kocs(=馬車で有名な町) → Kocsi(=馬車) → COACH(Kocsiの英語表記)

 

込められた意味

馬車=「大切な人を運ぶ」、「目的地に運ぶ」 → コーチ=「大事なことを相手に伝える」、「目的を達成させる」

 

言葉の歴史や由来を知ると、意外な繋がりや想い入れ、新たな発見があります。私は、人間の脳や思考の大半は「言葉」でできていると思うので、言葉の歴史や由来を知り、自分なりの理解をすることが大切だと考えています。また、コーチは主に言葉を用いてクライアントに影響を与えます。そのため、その言葉の持つ意味をしっかりと理解し、必要なタイミングで適切に用いることが大切だと思っています。と、少し固くなりましたが自分への戒めでもあります。

 

 

コーチングの始まり

では、コーチングはいつ頃から始まったのでしょうか。コーチングの起源には諸説ありますが、アメリカが発祥の地であることが有力です。1860年頃、まずスポーツのトレーナーがコーチと呼ばれており、1900年以降にスポーツを中心に取り入れられました。今ではビジネスの分野で耳にするようになったコーチですが、スポーツの方がコーチ制度の歴史が長いのですね。

 

1950年頃にはマネジメントの分野でコーチングという言葉が使われるようになりました。この頃になり、ようやくビジネスの分野でコーチングが登場しました。そして1970年頃にはアメリカから世界各国に広まり、1980年頃になるとコーチングに関する書籍が増えてきました。日本に入ってきたのは1997年と言われています。アメリカでは50年程の歴史があるのに対して、日本ではまだ20年程の歴史しかありません。

 

しかし、日本においてもコーチングの認知度や重要性は増してきており、教育関連、医療関連、専門職、士業など、多くの業種・分野で活用されるようになってきています。今後、個人や組織を活かすコーチングは益々注目され、その重要性はさらに高まっていくと思われます。

 

 

コーチ、コーチングの定義

コーチとコーチング、辞書ではどのように定義されているのでしょうか。

 

コーチ

・運動競技の技術などについて指導・助言すること。また、その人。「ピッチングをコーチする」「バッティングコーチ」
・乗り合いバス。鉄道の普通客車。旅客機のエコノミー客室。(出典:デジタル大辞泉(小学館))

 

コーチング

・運動・勉強・技術などの指導をすること。
・自分で考えて行動する能力をコーチと呼ばれる相談役との対話の中から引き出す自己改善技術。1990年代に米国で社員育成技法として始まる。(出典:デジタル大辞泉(小学館))

 

上記より、コーチは人や物、コーチングは主に行為を意味していると言えるでしょうか。なお、上記以外にもコーチングの定義・意味に関してはコーチングサービスを提供する組織やその人に考えによって様々あるようですが、「相手の潜在能力を引き出し、自発的な行動を促すためのコミュニケーション」という意味合いであることが共通していると思います。

 

 

私が考えるコーチング

私が考えるコーチングの意味としては、上記の意味とほぼ同じですが、噛み砕いでいうと、「その人の可能性・個性を引き出して活用できるようにする」ということだと思います。

 

私が信条としている、『人、商品・サービス、組織が本来持つ力」を引き出し「個性」を活かす』も、コーチングの原則に沿った考え方です。と言うと聞こえはいいかもしれませんが、実際は、「自分がやって欲しかったこと」、「自分がやりたかったこと」を表現したらたままた同義だった、という感じです。

 

また、コーチングをする際の考え方として、「答えは必ず相手の中にある」というものがありますが、私個人としては、これは「半分正解、半分不正解」だと思っています。人は、自分の経験や知識など様々な積み重ねで形成されている「自分の世界」の中から答えを探そうとするため、それ以外の答えが出てくることはない、というのが私の考えです。

 

相手が「自分の世界の中だけでは引き出せない答えを求めている時」は、いくら優れたコーチでも引き出すことは困難だと思います。その時の状態では答えが出ないためです。そのような状態の時に闇雲に質問するのではなく、「答えを引き出す」ために必要な材料を提供することも必要だと考えています。これは私の経験から感じることなので人によって異なるかもしれませんが、私はそう思います。

 

・相手の中に必要なものが揃っていれば「コーチング」で導き出せる
・揃っていなければ「コーチング」+「ティーチング※」や「コンサルティング」が必要

 

コーチングは内面を引き出す重要な方法ですが、コーチングをより活かすには状況に応じてティーチングやコンサルティングも必要だと私は考えています。ただ、ティーチングに関しては私1人で全てを賄えないこともあるため、専門的な知識を要する時などはその道の専門家に頼ることも必要になってくるかもしれません。「コーチなのでコーチ以外のことはやらない」のではなく、コーチングをより活かすために、必要に応じて臨機応変に対応することが必要だと思っています。

※ティーチング:知識ややり方を教えること。

 

コンサルタント、カウンセラーとの違い

コーチ、コンサル、カウンセラー、それぞれ意味と役割が異なります。ここではそれぞれの意味と役割、そしてコーチとどのように違うのかについて紹介させて頂きます。(大まかな内容のため、詳細を知りたい方は他と併せてお調べ頂ければと思います)

 

カウンセラー(カウンセリング)

「現在抱えている問題を解決」することが主な役割です。心の傷を負っているなど、心の病がある方に行われることが多いようです。問題の原因を探るため、クライアントの過去を振り返るなどを行います。「マイナスの状態からゼロ、またはプラスの状態」にする効果があります。

 

コンサルタント(コンサルティング)

クライアントから課題や依頼内容をヒアリングした後、それに対する「解決策(答え)」を考えクライアントに提供することが主な役割です。高度な知識やスキルを用いることで、クライアントの課題解決に貢献します。
「ゼロからプラスの状態」にする効果があります。

 

コーチ(コーチング)

「未来に向けて相手の行動を変容させる」ことが主な役割。クライアントに寄り添い悩みや課題に対して一緒に考目標を定めます(原則としてコーチから答えを与えない)。目標達成に向けてクライアントが自発的に動き達成できるようサポートをします。
「マイナスからプラス、またはゼロからプラスの状態」にする効果があります。

 

まとめ

・カウンセラー:マイナスからゼロ。問題解決
・コンサルタント:ゼロからプラス。解決策の提供
・コーチ:マイナスからゼロ、またはプラス。目標達成へ導く

 

 

どんな人がコーチに向いているのか

では、どのような人がコーチに向いているのでしょうか。あくまで一例ですが、以下の様な人はコーチに向いていると言われています(私もそう思います)。

 

コーチ向きのタイプ

・話をしっかりと聴くことができる
・人に対する興味・関心が高い
・素直である
・正直である
・言葉の間や仕草などに敏感
・話をまとめる力がある
・信頼できて安心感がある

 

コーチを選ぶ

では、コーチを選ぶ時に上記の様な人なら誰でも良いのでしょうか。もちろん素養としてはとても大切ですが、一番大切なことは「コーチとの相性」だと思います(私の経験も含めて)。どれだけ実績のあるコーチでも相性が悪いと良い効果は期待しにくいと思います(私の経験上)。

 

逆に、相性が良く前向きになれるコーチと一緒なら、やる気が促されて目標達成は確実だと思います。実績やイメージももちろん大切ですが、深く関わるため相性、信頼関係はとても重要だと思います。

 

もし気になる方がいる場合は一度会いにいくことをおすすめします。「会ったら契約しないといけない」と思わるかもしれませんが、そんなことはありません。断っても全く大丈夫です。

 

個人的な感想ですが、売り込みが強引な人に信頼できる人はいないと思います。自分都合な人だからです。もし、「無理に契約をさせようとする」、「契約を断ったら機嫌が悪くなる」という人に会ってしまったら、それはとても腹立たしいことと思います。しかし私は「本性がわかって良かった」、「そんな人と契約しなくて良かった」と思うようにしています。

 

会って初めてわかることも多いので、「まずは会ってそれから考えよう」、そんな気楽な気持ちで良いと思います。(会う場所はある程度人気があり落ち着いたところ、ホテルのラウンジがおススメです。特に女性の方は会う場所に注意をして頂きたいと思います)

 

 

コーチングに資格は必要か

コーチングの資格に国家資格はなく、企業や各団体により認定されている民間の資格があります。民間の資格であるため、コーチになるために資格は必須ではなく、誰でもコーチと名乗ることができます。そのため参入障壁は低くコーチング業界は玉石混合と言われており、なりやすい職のためコーチとして成功している人もまたごく一部だと聞きます。

 

コーチを本業にしている人、副業にしている人、経験がある人ない人、実績がある人ない人、色々な立場の方がいると思いますが、逆に資格がないからこそ、様々な人生経験のあるコーチに出会える機会も多いと思います。色々な情報に流されないためにも、あなたの基準を決め、あなたに合ったコーチを見つけることができれば、目標達成への道は近くなると思います。

 

 

コーチングの効果

コーチングを受けるとどのような効果があるのでしょうか。一例ですが、以下の様な効果が期待できます。

・悩みの根本原因が明らかになり、実現したい未来を明確にできる
・自分だけでは気付かないことを気付くことができる
・思考力や気付く力が高まる
・答えを出すために必要なヒントを得ることができる
・決断の後押しをしてもらうことができ、自信を持って行動ができる
・自分で決めて自分で行動を起こす気持ちが湧いてくる
・解決策を自ら考えるようになる
・視点を広げられる
・考えや行動の選択肢を増やせる
・目標達成に必要な行動が促進される

このようにコーチングで得られる効果は色々とありますが、誰でも効果が出るもではありません。では、どの様な人に効果が期待でき、どの様な人に効果が期待できないのか、あくまで一例ですが下記にまとめましたのでご参考頂ければと思います。

 

コーチングの効果が期待できる人

・前向きで何とかしようと思っている人
・「まずやってみよう」という行動的な人
・一歩を踏み出せなくて背中を押してほしい人
・色々とやってみたけど上手くいかない人
・変わりたいけど「目標」がわからないという人
・素直な人
・真面目な人

 

コーチングの効果が期待できない人

・人任せで行動しない方
・後ろ向きで批判的な方
・他力本願で自分の力でやろうとしない方
・依存体質な人
・何でも他人や環境のせいにする人
・やらない理由ばかりを探す人

 

コーチングはその人の可能性に目を向け、本来持っている力や魅力を引き出すものであり、クライアントとコーチの2人が1つになって成り立つものだと私は考えています。そのため、成功するか否かの半分はクライアントにかかっています。姿勢が後ろ向きの人にもコーチングをやれば何かしらの効果は出ると思いますが、期待するような効果は出にくいと思います。素直で前向きなクライアント、そしてそれに全力で応えるコーチが組むことで、より良い結果を出すことができるのだと思います。

 

ここまでお読み頂きまして誠にありがとうございました。情報は随時、加筆・修正していきますので、時々お越し頂けましたら幸いです。

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